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2024年3月 3日 (日)

結局三津と吉田は河原でまったりして着物を取

結局三津と吉田は河原でまったりして着物を取りに帰らず。サヤとアヤメには何で?と言われたが,

 

 

「桂さんが絶対着せたいヤツ持って来るから。」

 

 

とだけ告げた。そして桂がそれを持って現れた時にはサヤとアヤメのにやにやが止まらなかった。

 

 

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三津に化粧を施しながらサヤはずっと笑っていた。

 

 

「ホンマに怖いぐらいです。」

 

 

「三津さんが来てから新しい一面ばかりで私とアヤメはめっちゃ楽しんでますけどね。

私ら女中は藩士の方々とお話する機会など無いので。」

 

 

黙って仕事をするだけだったが三津のお陰で少し繋がりが持てて嬉しいと言った。

 

 

「それで……三津さんはご自分の事が嫌いなんですか?」

 

 

「嫌い……そうですね。許せないんです。」

 

 

意味が分からずサヤは手を止めて首を傾げた。

 

 

「小五郎さんに出逢う前に私には恋仲がいました。でも死んでしまって……。私を庇って目の前で斬られて死んでしまって……。」

 

 

サヤの目が大きく見開いて口も半開きになった。

 

 

「その事から前を向かせてくれたのが小五郎さんやけど,それでもやっぱりあの人が私のせいで死んだ事には変わりなくて……。」

 

 

目を潤ませながらも笑おうとする三津をサヤが咄嗟に抱き締めた。

 

 

「三津さんのせいちゃう!悪いのは斬った奴!三津さんのせいなんかちゃう!そんなん違うっ!」

 

 

「サヤさん……。」

 

 

「吉田さんの言うてる意味が分かりました。悲しい時は悲しいって言わんと。その上に笑顔重ねても悲しみは下の方でずっと溜まっていきますよ?

笑顔に蓋された悲しみはどうなります?出て行かれへんでしょ?そんなんいつまでも溜め込んでたらあきません。」

 

 

『そっか……消したい思いを溜め込んでたの私なんや……。それを吐き出せるのも私自身やのに。』

 

 

「私って阿呆ですね。でも今は泣くのやめときます。せっかくサヤさんが綺麗にしてくれてるから。また帰って来たら話聞いてください。」

 

 

今度はちゃんと心から笑えた。それにサヤも笑顔で頷いて最後の仕上げに取り掛かった。

 

 

「うん!可愛い!」

 

 

サヤはどう?どう?と手鏡を渡した。

 

 

「うわぁ今までしてもらった中で一番好きです!良かった派手やない!」

 

 

三津は満足げに笑みを零した。「そしたら行きましょうか!」

 

 

門の前で桂と乃美が待っている。サヤに手を引かれて部屋を出た。

 

 

「サヤさんやるね完璧。」

 

 

部屋の外で待ち構えていた吉田と久坂,入江が感嘆の声を漏らした。

 

 

「桂様より先に見ちゃっていいんですか?また妬きはりますよ?」

 

 

サヤはくすくす笑って三津の耳が赤くなるのを見ていた。

 

 

「いいよ。桂さんはこの姿見ながら酒飲むんでしょ?三津,帰って来たら俺にも酌しなよ。」

 

 

「皆さんは来てくれないんですか?」

 

 

三人も来てくれたら気は楽なのにと口を尖らす。

 

 

「残念ながら今日のご指名は乃美さんと三津さんだけみたいなんで。」

 

 

私もお酒用意して待ってますと入江は三津の頭を撫でた。

 

 

「ささっ殿方待たせてはあきません行きましょ!」

 

 

三人の相手をしていてはきりがないとサヤは三津の背中を押して門まで付き添った。

 

 

「こりゃ可愛らしいくなって。」

 

 

乃美に褒められ三津は照れ臭そうに笑って頬を掻いた。

 

 

「サヤさんありがとう。」

 

 

「お役に立てて光栄です。」

 

 

デレデレと鼻の下を伸ばす桂に深々と頭を下げた。予想以上に桂がいい反応をしてくれるので必死に冷静を装った。

 

 

サヤに見送られ川沿いを歩いて指定された旅籠へ向かう。

 

 

「宮部さんってどんな方ですか?」

 

 

全く何の情報も与えられていないからちょっとは情報が欲しい。

 

 

「松陰先生と馬が合う豪快な人だね。」

 

 

『お酒の席に呼ぶくらいやから変わった人なんやろうなぁ。』

 

 

多分松陰先生に絡んでくる人はみんなわやなんだと言う認識だ。

 

 

「酔ったら勝手に喋っちょるけぇ頷いて聞いちょき。」

 

 

大丈夫大丈夫と背中を二回叩いてもらい三津は分かりましたと肩の力を抜いた。

 

 

旅籠に着くと“お部屋でお待ちですよ”と女将に言われて二階の部屋に案内された。

 

 

「桂です。失礼します。」

 

 

凛とした桂の声に三津の緊張は最高潮に達した。

開かれた障子の先では胡座を掻いた男がこちらを見て笑っていた。

 

 

「おう。昨日の今日ですまんな。気になったらすぐ確認したいと。そんで女子は?」

 

 

「先に私に一言ないんか。」

 

 

不機嫌な声で乃美がずいっと前に出た。

 

 

「そりゃ女子の方がよか。隠れとらんとこっちに出て来い。」

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