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2022年9月

2022年9月17日 (土)

「陸の孤島とは興味深い表現で

「陸の孤島とは興味深い表現で御座いますね。それらは百越の影響を多大に受けているので、もしやすると接触自体を拒絶する可能性すらあります。名目上の地域と見ておいた方が宜しいかと」

 

 まあ東にいって海沿いにある会稽郡とどっこい地の果て扱いだからな。更に南にある交州なんぞもう中国ではないと言われてもおかしくないぞ。

 

「どうせ十日そこそこの距離だろ、行って駄目ならそれまでさ」子宮內膜異位症

 

「そういうことでしたらば。文若も同行いたします」

 

「好きにしろ」

 

 暇つぶしで軍を出すことになるとはね、警邏の一環だと思えばそれでいいか。二日で準備を整えて若いのを連れてまずは陵陽に入る、これといって異常は無し、ここで一泊していよいよ南の山奥深い場所へと進む。手前にあるには揖県だ、何と無く行くだけでは面白くあるまいな。

 

「陳葦、辛批、杜襲、趙厳こっちにこい」

 

 若者四人を呼び出して目の前に並べた、といっても個人で馬を用意してきているから歩兵ではないぞ。客将とでも言えば良いか、指揮権無しの士官のようなものだ。兵士らはこいつらを貴人だと信じて接しているし、実際そういう扱いをしている。

 

「島県令、ご用でしょうか」

 

 一番の年長者でもあり、他者にしっかりと評価を受けてたりもする陳葦が代表して言葉を発する。うちの軍規の書き換えもしてもらったし、こいつは事実若いが武将として扱うつもりだ。

 

「この先は未踏地だ、どうすべきだと考える」

 

 隣に荀彧が居るのに敢えてそう問いかける。じっと見つめているので、どこに真意があるかを悟って欲しいが難しいか。「兵法によれば、その目となり耳となるは先んずると申します。偵察を出すべきと存じます」

 

 前置きはどうあれ偵察を出すのは正しい、面倒でもそうする癖をつけておくと大損害を受けづらくなるものだ。一方でここぞというときの追撃でそんなことをしていたら逃してしまうがね。

 

「そうか。では偵察を出す、志願する者はいるか」

 

 わざわざここに呼んだうえでの発言だ、直ぐに「私が行きます」辛批と杜襲が名乗り出る、ん、趙厳はどうした?

 

「二人だけか?」

 

 陳葦はそういう感じではないので良いが、趙厳は意外だな。まあいい。

 

「では辛批と杜襲に兵百を預けるので見て来い」

 

「承知しました!」

 

 勇ましい顔つきだ、余程嬉しいんだろうな。さて趙厳だが、こいつは何を考えている? チラっと荀彧を見るとうっすらと笑っているな。四人を解放してから「どういうことだ」曖昧にぼかして聞いてみる。

 

「それでしたら、恐らくは近くにはまとまった集団が存在しないと知っているからではないでしょうか」

 

「ほう、何故そう言える?」

 

 正直俺にはわからんが、そういう常識があるのか?

 

「ご覧ください、木々には鳥が棲み、小動物が暮らしております。今日も良い天気だとは思われませんか」

 

 ふむ…………そういうことか。少数ならばばったり出くわしてもこれと言った危険も少ない、納得したよ。

 

「光るものを持っているとは思ったが、やはり辛批や杜襲と比べると、一段高い武才を持っているな趙厳は」

 

「文若見ますに、恐らく趙厳は張遼や文聘、甘寧を含め、それらの中で一番高みに登るでしょう」 そうなのか! でも趙厳なんて聞いたことないんだが、あとで改名するとかあるかも知れんな。それとも漫画にでてきてないだけで実は凄いやつだったりするのかも知れん。どちらにせよ荀彧がこうまで評価しているうえに、俺が見たって切れ者だと感じる、そのうち解るな。

 

 二時間くらいして一行が戻って来た。戦ったような跡は見られない。

 

「報告します、ここから南に行った場所に標高が高い山があります。揖県はその山を挟んだ向こう側にあるとのこと。不審な影は見られず軍を進めるに問題は見られません!」

 

 辛批が胸を張ってそう言う、杜襲も見落としは無いぞと言わんばかりの表情だ。

 

「そうか、ご苦労。では進むとしよう、二人が先頭を行くんだ」

 

「はい!」

 

 素直で元気な奴らは気持ちがいいな。五百の軍勢で山の中をゆっくりと進んでいく、出来るだけ道を拡げるような感じでだ。開削までは出来ないが、人間の通り道だぞという位に足跡を残すことは出来るからな。

 

 山脈の切れ目はなさそうなので、二つの山の中央を選んで出来るだけ標高が低いところを越えるために進む。そのうち陽が暮れそうになってきたので今夜はここで宿営ということにした。

 

「ここで止まれ! 野営をするぞ、寝床を作り飯の用意だ。一隊は周囲の厳重警戒を怠るな」

 

 気が抜けたところを奇襲されてはたまらない。石や枯れ木を集めさせて、周囲に防壁を構築する、面倒だがこれが有効なんだよ。小川や湧き水を探させて、飲み水の確保も出来るだけ今のうちにやっておく。備蓄を減らすのは最後の最後だぞ。

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